緑内障

ゆっくりと視野が欠け、欠けた視野は元に戻らない怖い病気です

緑内障は、徐々に視野が欠けていく怖い病気です。白内障と違い、症状に気づいてから点眼・手術治療をしても、回復しません。治療の原則は、現状維持、今より悪くしない、ということです。視野欠損の自覚症状は、視野に黒いものが現れる、という分かりやすいものではなく、網膜に映った像を感じなくなることですので、両目で生活していると、簡単には気付かないものです。身の回りにあるもので分かりやすく説明しますと、テレビ電波を正しく受信しているのに、液晶画面の一部が劣化して、その部分に映るはずの画像が読み取れなくなっている、というイメージです。
緑内障は、現在でも謎の疾患です。すなわち、本当の原因が解明されていません。(ウイルス性結膜炎であれば、原因はウイルス感染と、アレルギー性結膜炎であれば、原因はアレルギーと、因果関係が解明されています。)ところが、緑内障では、いまだに原因が同定できないために、経験値、医学統計処理データから、視野の増悪が止まるところまで眼圧を下降させることだけが唯一有効な治療法と現時点ではされています。将来、原因解明と治療法が大きく変わる可能性がある疾患です。
緑内障は、人口(40歳)の5パーセントに存在すると疫学調査では報告されています。つまり、40人クラスであれば、2人が緑内障になります。青少年のときから緑内障になる方はほとんどいません。中年から発症します。加齢により発症率は徐々に高まり、70歳では10パーセントになります。遺伝が関与するとも言われますので、親が緑内障の方は、より注意してください。自分で見にくさに気づいたときには、相当に進行しています。会社の検診で眼底カメラ撮影を受けて、眼科を受診するように勧められたときには、必ず受診してください。現在は、優秀な点眼薬が複数ありますので、手術になることはあまりありません。定期的な通院と点眼を欠かさないことが大切です。