他科からの処方と 緑内障の注意点

眼科以外の医師から 「緑内障で通院中ですか」 と尋ねられたら

医薬品を使用する際には、使用上の注意をよく読んで、守らなければいけません。
現在、800を超える薬剤が、緑内障の診断を受けた方に使用してはいけない(禁忌)、あるいは、医師に相談すること、という注意書きを薬剤添付文書の中に記載しています。その根拠は、緑内障のある患者に使用すると緑内障を悪化させるおそれがある、というものです。
眼科医院によく問い合わせがあるのは、「アレルギーを抑える内服薬を処方したいが処方しても大丈夫か。」「消化管内視鏡検査を予定しているが、その際に鎮痙薬を注射しても大丈夫か。」、というものです。
対象となる薬剤は、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、抗不安剤 、不整脈用薬、循環器官用薬、血管拡張剤 、消化性潰瘍治療薬、気管支拡張剤、自律神経剤 、鎮痙薬、神経系用剤、抗パーキンソン病薬、中枢神経系用薬 、抗てんかん剤 、総合感冒薬、鎮咳薬、泌尿生殖器官肛門用薬、ステロイド剤と多岐にわたります。
対応としては、同じ作用を狙っていても、緑内障に禁忌でない薬剤を使用することが可能な場合がありますので、代替できる薬剤を検討していただくことです。これがもっとも良い対策です。
もうひとつは、長年拝見しているカルテを点検して、眼圧が安定していて、眼圧上昇発作を起こす危険がきわめて少なく、病気がよく管理されていると判断して、(緑内障のある患者に使用してはいけない、と注意書きがある)薬剤を投与しても大丈夫です、と他科の医師に医学情報提供する、というものです。
眼科以外の科の医師は、緑内障治療中という情報から、緑内障発作を起こす危険を心配しますが、実際に長年診療を担当している眼科医師は、緑内障が危険な状態か安心できる状態かを判断して、許可あるいは禁止をお伝えします。