サプリメント を医師はどう考えているのか
サプリメントは、医薬品とは違い、栄養補助食品と呼ばれ、食品として扱われます。しかし、トクホ(特定保健用食品)のマーク(背伸びしているような、跳躍しているような)をつけた製品が数多くコンビニエンスストアなどで見られるようになり、われわれ誰にとっても、サプリメントは、身近な存在になってきています。この分野は、政府の成長戦略とも重なり、関係する法律は、今後も変わっていくものと考えられますが、基本的に、消費者庁、厚生労働省、国立健康・栄養研究所が安全性、効果、医薬品ではないことを確認して許可認可をします。また、各サプリメントがからだに良い、と謳う表示様式は、法律で厳密に医薬品とは区別されていますが、今後大きく改定され、医薬品に近づいていくものと思われます。
法律的、行政的なことはさておき、医薬品を処方する医師が、サプリメントをどのように位置づけて考えるかを申し上げます。医薬品とは、疾患を治療するものです。疾患の医学的根拠に基づき、疾患を治療することを目的として、高度に科学的な手法を用いて製薬会社が複数の試作医薬品を開発し、それぞれの効果、安全性を確認し、候補を絞り込み、さらに動物で検証、疾患を有しないヒトで検証、疾患を有するヒトで検証し、その確かな効能、安全性を厚生労働省が承認して認可し、ようやく発売されます。さらに発売後も継続して処方した医師から効果、副作用の報告を集め、厚生労働省の再評価、再審査を受けます。価格は、薬価として厚生労働省が指定した全国一律価格となり、1年または2年ごとに改定されます。原材料は、化学薬品です。
サプリメントは、食べてみたら調子が良くなった人がいた、という逸話から始まります。そこから、ある食品の特定成分を抽出してその特定成分を多量に含む製品をつくり、それを数十人のヒトに飲み込んでもらい、また一方で多量特定成分を含まない品を数十人のヒトに飲み込んでもらい、飲み込んでからある時間経過したのちに、2群の間で身体に変化の違いが出たかどうか、を判定します。この効果は、一時的に限られるものであっても(やがて元に戻ってしまっても)効果として認められます。原材料は、農業製品、水産品です。
眼科において、多くの医師が推薦する品は、現在のところ、加齢黄斑変性に対するサプリメントだけです。2000年前後に、世界的な眼科学術誌に、高い信頼性をもって疾患の進行を予防する効果がある、と発表されました、これは、ルテインを主軸とする複数の成分で構成され、ひとつの会社が複数の製品を販売している例もあり、一律の内容成分の品ではありません。また、価格も一定ではなく、ドラッグストアによって異なりますし、同じ品がネットで激安価格で購入できる場合もあります。
基本的な考え方は、医薬品は疾患を治療する、サプリメントは疾患を予防する、というものです。サプリメントの箱には、多量に摂取したからといって疾病が治癒するものではありません、と注意書きがなされています。