ドライアイ (乾き目) とは
正常な眼は、「潤い」を保っています。くろめ(角膜)、しろめ(結膜)の表面には、まばたきするたびに、涙が補給されます。空気に触れることにより、涙は乾燥して量が減ります。そこで、次のまばたきが必要となり、まばたきすると、再び正常な眼の表面には潤いが戻ります。この正常なメカニズムが失われると、角膜、結膜に障害を起こします。すると、いろいろな不都合が生じてきます。
もっと馴染みのある話から入っていきましょう。テレビや雑誌で、バリア機能が正常なお肌、バリア機能が低下したお肌、という説明をよくご覧になることと思います。ちょうど同じようなものと考えていただいて構いません。細胞間の脂質、セラミド、ラメラ構造、天然保湿因子、皮脂、などをお聞きになったことがあると思います。これらが正常で、はじめてお肌は水分を保ち、健康でいられるのであって、不健康になったお肌に、美容製品の使用を薦められます。
ドライアイ の 症状
目が乾く。だけではなく、かすむ、ごろごろする、疲れる、痛い、充血する、涙が出る、などいろいろな自覚症状がみられます。このような症状があったら、というチェックリストには、
- 目が乾く
- まぶしい
- 疲れる
- 痛い
- かすむ
- ごろごろする
- 痒い
- 充血する
- ざらざらする
- めやにが出る
- まぶたを閉じると楽
- 午後になると調子が悪い
というように、一言でいうと、目の調子が悪い、となります。臨床的な特徴として、日によって、程度が変わる、右目がより悪かったり、左目がより悪かったりします。ちょうどお肌のトラブルと同じような感じです。
ドライアイ の 原因
涙は、単なる塩水ではありません。涙の膜は、空気に触れる面に油層。角膜、結膜に触れる面に膜型ムチン。そしてその間にある水/ムチン層という3層構造をしています。この構造が正常でなくなると、角膜、結膜に障害が起こり、ドライアイとなります。
ドライアイ を 悪くする 誘因
正常な涙成分を作れない、乾燥しやすい、涙の供給が減る。リストに心当たりがあれば、生活習慣の改善を心掛けてみてください。
- パソコン、スマートフォン、テレビをよく見る
- 室内が乾燥している エアコンの近くにいる
- コンタクトレンズを使用している
- 睡眠時間が短い 夜更かしする
- ゴーグルなしで、バイクや自転車に乗る
- エアコンをつけて自家用車を運転する
ドライアイ の 治療
ドライアイの治療で、一番大切なことは、自己判断しないで、しばらく眼科に真面目に通う、ということです。調子がよいと、行かなくなります。そして、かなり調子が悪くなってから、行きます。これでは良くなりません。自覚症状は、湿度が高い夏場は調子がよく、湿度が低い冬場に悪くなるのが普通です。医師は診察して、現状が正常なのか、少し悪いのか、とても悪いのかをお知らせします。自己判断では、少し悪い状態を把握できません。そして、手当が遅れます。そのときには、障害が起きてしまっています。そこから治すのは大変です。
ドライアイ の 治療薬
涙の構造で、油層、水/ムチン層、膜型ムチン層を説明しましたが、各層をターゲットとした点眼薬が開発されています。さらに、角膜、結膜の細胞を元気にする効果を確認された薬剤があります。また、それぞれに、点眼を続けたさいのご本人の感想(快・不快)がありますので、これら複数ある点眼薬から選択していきます。変更していくこともよくあります。
ドラックストアでも ドライアイの点眼薬を買えますが
これは、医師の診察なしに、自己診断で治療していることになります。病状が軽く、数日の点眼で改善してしまうならば、それはそれでよいと考えます。ただし、それを繰り返すのは、よくないでしょう。
まぶたを温めると ドライアイによいのか
涙の油層はまぶたのマイボーム腺から分泌されます。従いまして、まぶたを清潔に保つこと、マイボーム腺を詰まらせないことが大切です。この目的で、目のシャンプーやホットパックが推奨されます。