白内障手術 とは どのようなものか

白内障で手術が必要と言われたら

白内障は、水晶体が濁ることにより、網膜に結ぶ像が白っぽくぼやけて、視力が低下する病気です。最近見にくくなったから眼鏡を作り直そう、と眼科や眼鏡店に行って視力検査をしたところ、どうしても矯正視力が 1.0 出ないので変だなあ、と精密検査を進めると、実は白内障だったというのが、よくみられるケースです。
自動車運転をしない人であれば、矯正視力が 0.5 以上あれば、自宅での日常生活と近所での買い物が不自由なくできますが、運転をする人には、 0.7 に低下したら手術をお勧めします。
所要時間は、手術台に登って仰向けに寝て局所麻酔の点眼を受け、濁った水晶体を超音波で砕いて吸引除去し、眼内レンズを水晶体のあった部位に挿入して手術を終了し、眼帯を装用して手術台を降りるまで、およそ15分です。手術翌日に経過を確認し、自宅でご自分で点眼を続けていただき、翌週に眼帯を外します。
手術所要時間はおよそ15分で安全な手術なのですが、その前に大切な術前検査がいくつかあります。術前検査を完了しなければ、手術には進めません。
中でももっとも大切な検査が「眼内レンズ度数の決定」です。メガネの度数が人それぞれ違うように、眼内に入れるレンズの度数も異なります。さらに、手術を希望する方が、日常生活の中で、どの距離の物体や文字を見る時間が長いのか、重要な時間帯にどういう作業をしているのか、をよくお伺いして、手術後にもっとも使いやすい眼内レンズ度数を決定します。「もっとも使いやすい」というのは、補助眼鏡なしで快適に作業ができる、という意味です。これを精密に計画しておきませんと、手術は無事に施行されたが、ご本人としては、どうにも使いにくい、目が疲れる、手術前よりも不自由になった、という結果になります。簡単な例で言いますと、自動車の運転が主なのか、パソコン業務が主なのか、で眼内レンズの度数は異なります。補助眼鏡なしで生活できる、というのは、若い頃から度の強い眼鏡をかけなければ物が見えなかった、という方には朗報です。眼内レンズの度数を最適に選ぶことにより、眼鏡やコンタクトレンズなしに日常生活ができるようになって夢のようです、と喜ばれることがよくあります。
英国ロンドンの Guy’s and St Thomas’ 病院には、「1949 年、Sir Harold Ridleyが世界ではじめて白内障眼内レンズ手術を施行した」と書かれた銅板が掲げられています。
2015年7月、 lanosterol が白内障の予防および治療に有望であるとの論文が、Nature 誌に掲載されました。近い将来、点眼薬として実用化されれば、白内障手術の需要が大きく減少することが期待されています。

<< 眼科 豆知識 に戻る