加齢黄斑変性

網膜の中心部(黄斑)が変性して視力が低下、物がゆがみます

網膜の中心部を黄斑と言います。文字を読んだり、注意を集中して物を見るときには、この黄斑部分を使っています。網膜の中心部分(黄斑)が中年以降に変性して、変形する病気です。角膜と水晶体が光学的に正しく像を作っても、網膜が変形して壊れると、変な見え方になります。はじめは黒っぽい影を感じたり、少し見にくくなったのかな、と感じたりします。老眼のせいだろう、と放っておくと、健康診断で眼底写真を撮影された際に指摘されたり、片目ずつふさいで右目と左目の見え方を比較したときに、見え方が変わったことに自分で驚きます。
正確で簡単な検査を自宅で行うことができます。片目を片手で隠して方眼紙を見てください。網目格子が視野のどの部位でも正常に見えれば安心です。さらに詳しくは、ネット検索で「アムスラーチャート」を検索して、検索条件を画像検索に切り替えてみてください。有益な情報が得られます。
現在、この病気の診断と治療は、1年ごとに目まぐるしく進歩しています。CTスキャンのように網膜の断面図を撮影するコンピューター眼底検査器械で詳しく診断します。治療は、全国的に地域の中核病院で眼球内に薬剤注射が行われています。初期にはサプリメントが効果があると考えられています。

この「加齢黄斑変性」という病気は、30年前には一般には聞いたことがない疾患で、1990年代から患者数は増加を続けています。新聞、雑誌、テレビにも多数取り上げられるようになりました。その根底には、寿命が延びたこと、中年時代に喫煙や脂肪の多い食事を摂取したことが関与していると考えられています。目の構造は、カメラの内部と同じ、と説明されることが多いのですが、網膜は光が当たるたびに酸化変性を起こし、それを常に正常に戻しているから見続けることができるのです。ここで重要な役割をするのが網膜色素上皮であり、その役割機能が低下すると、リポフスチンという良くない脂質が沈着し、不良な脂質沈着は網膜に炎症を起こします。高脂血症や高血圧症は、根底にある原因であり、メタボが原因と言ってもよいのです。